さとぷろ。第1期では、5つのプロジェクトによる取り組みを行いました。

木質バイオマス利用促進プロジェクト
プロジェクトが目指すこと

市民、事業者、行政が協働して、木質バイオマスのうち最も身近に利用できる「薪」を自らの手で生産・利用します。こうした取り組みを試行しながら、市全域に木質バイオマスの利用を展開するための道筋を探ります。

【目標】薪の地産地消率(市内の薪消費量のうち、安曇野市産材が占める割合)を70%にする。

活動内容

行政が事務局になり、市民、事業者などから参加者を募集してプロジェクトチームを構成し、活動を進めてきました。

プロジェクトで仲間を募り、山林所有者の協力を得て、薪を作る市民グループ(あづみの樹楽会)の活動がスタートしました。生産した薪の一部を市民に頒布するほか、明科天田地区のフィールドでは下草刈りなどの里山整備も行ない、地域社会とのつながりを持つことで周辺への波及効果も得られ始めています。この活動には「さとぷろ。学校」修了生も参加しています。

薪の生産現場の様子、市民への頒布(あづみの里山市)

薪ボイラーを導入した市内の温浴施設では、市内で発生した松枯れ材の薪を活用し、施設の暖房などに利用しています。松枯れ材は放置すれば廃棄物ですが、このように利用することで燃料となっています。

松枯れ材を薪に加工し、薪ボイラーの燃料に活用

市内の製材業者において発生する端材を、市内の別分野の事業者が薪ストーブの焚きつけ材として販売するなど、異業種が連携した取り組みも始まっています。

製材所の端材をカットして焚き付け材に加工

安曇野材利用促進プロジェクト
プロジェクトが目指すこと

市内の里山で生産される木材(安曇野材)の、生産・流通・消費に関わる個人・事業者(例えば森林組合・個人林業者・木材業者・建築士会など)と行政が協働して、本市独自の安曇野材流通形態の構築を目指します。

【目標】安曇野材の年間利用実績を150m3にする。

活動内容

安曇野材の流通や消費に携わる関係者と行政からなるプロジェクトチームにより、今まで活用されることが少なかった安曇野材を利用できる体系づくりを進めてきました。林業者、製材加工業者、建築士がプロジェクト構成メンバーになり、生産者から消費者まで、安曇野材活用の環がつながりつつあります。

プロジェクト会議と製材所での材の見学

安曇野環境フェアにて

安曇野材を利用した建築事例を紹介したスタイルブック「里山めぐみの家 」を作成しました。森林づくり県民税 を活用し、移動展示が行えるミニハウスを製作するなど、市民が安曇野材に身近に触れ られる機会をつくっています。

「里山恵みの家」StyleBook、安曇野材ミニハウスの展示

市内では安曇野材利用のニーズが高まり、安曇野材を活 用した住宅などの施工事例が増えてきました。

安曇野材を使用した建築事例(住宅、カフェ)

里山学校プロジェクト
プロジェクトが目指すこと

多くの市民の皆さんが里山で様々な活動をするための技術・知識を身につけ、里山を楽しむ活動の環を広げるため、「さとぷろ。学校」を、設立・運営します。「さとぷろ。学校」の活動が、里山の理解者・行動者を育て、自発的な里山活動を促すことを目指します。

【目標】里山学校の年間受講者数を延べ100人にする。

活動内容

さとぷろ。学校の受講生の総計は、延べ459 名にのぼりました。講義、間伐実習、草地整備、竹林整備、市内外の視察などの様々なカリキュラムを実施し、基礎的な里山活動の 知識・技能を学びました。さとぷろ。学校修了生からは、プロジェクト活動への参加や市民グループで中心的な活動をする人材を輩出し、市民が楽しみながら里山での活動をすることに繋がっています。

さとぷろ。学校

明科清水地区では地元の方々と協働し講座を開催しました。山地集落で問題となって いる竹林の生態や竹の活用方法を学びながら、竹林の間伐作業を行い、交流 を深め、その土地での暮らしや文化に触れる機会をもちました。

竹炭づくり、竹の活用方法を学ぶ

里山活動で使用する道具を扱う技術や、使用後の手入れの方法などを習得する実践 的な講座も行いました。

チェンソー技術講習

「さとぷろ。学校」修了生が中心となって、「もりっち!」というグループが発足しました。山林所有者からフィールドをお借りして、それぞれが思い描く理想的な森林づくりの活動が始まっています。

「もりっち!」森林を観察し学びながら森林整備

里山保全・体験学習プロジェクト
プロジェクトが目指すこと

市民や事業者が気軽に里山に関わることができる場を提供するため、体験型イベントを企画・運営します。里山保全に関する課題に対して楽しむ要素を加えることで、負担感なく多くの市民に参加していただくことを目指します。

【目標値】体験型イベントを年間5回開催する。

活動内容

プロジェクトメンバーがそれぞれの得意分野を生かし、主体的にイベントの企画運営を行なってきました。

イベント「ハンターと歩く里山」では、猟友会の案内により、野生動物の足跡の見分け方や山菜の採取方法など、里山の楽しみ方を紹介しました。ホテルのシェフによるジビエ肉料理を味わうなど、ひと味違った目線での里山の楽しみ方を学びました。イベントをきっかけに狩猟免許を取得する参加者も出ています。


イベント「ハンターと歩く里山」

「安曇野 森林の楽校」では、県内外の安曇野ファンを中心に里山で竹林整備や除伐作業を体験し、交流を楽しみました。

イベント竹林整備、ヒノキ林間伐

「あづみの里山市」は本プロジェクトの企画として始まった後、安曇野材利用促 進プロジェクトを中心とした実行委員会に引き継がれました。市民が安曇野材を身近に感じ活用する場となるとともに、プロジェクトの交流にもつながっています。

あづみの里山市

「さとぷろ。フォーラム」は、5つのプロジェクトが一堂に会し、さとぷろ。 の活動全般について市民により深く知ってもらう場として、毎年開催してきました。

「さとぷろ。フォーラム」

パネルディスカッション、各プロジェクトの活動紹介

松枯れ対策実践プロジェクト
プロジェクトが目指すこと

このプロジェクトでは、行政及び事業者が、地域住民(山林所有者)と協働し、今後松枯れが拡大する恐れのある地域において、積極的にアカマツを伐採し利用することや、松枯れの拡大を抑制することを目指します。

【目標】複数の山林所有者と行政及び事業者が協働して、更新伐、樹種転換を5か所で取り組む。

活動内容

松枯れ被害が深刻な地域を中心に、地域の合意が図られた場所では山林所有者と事業者および行政が連携して更新伐(樹種転換)を30 か所で実施し、松枯れ被害の蔓延防止に取り組みました。

市民が参加する活動として、明科・荻原地区では更新伐後の里山を歩くイベントを開催しました。どのような 里山を作っていくのか地域住民とともにで考え学ぶという新たな里山活動が生まれています。

更新伐採地の山歩き(明科荻原)、更新伐採地視察(西山)

市民を対象に樹幹注入講習会を開催しました。松枯れの起こるメカニズムを伝えるとともに、予防として有効な樹幹注入の方法について実技を交えた講習を行いました。

樹幹注入講習会

「よみがえれ!マツタケ!」という市民主体の森林整備活動が始まりました。かつてのマツタケの産地であった里山をフィールドに、松枯れ被害に強い健全なアカマツ林に整備し、マツタケ山の再生を目指す活動が始まっています。

「よみがえれ!マツタケ!」通称「ヨミマツ!」