さとぷろ。学校の卒業生を中心に、スギ林の皆伐から23年目の森に手を入れていく活動がはじまりました。6月19日の午前中、現地踏査ということでどんな樹がどこにあるのかを観察しました。講師は長野県林業総合センター指導部の小山さんです(小山さんが講師というだけでワクワクしてしまいますね)。まずは境界の確認、黄色い樹木テープをつけた向こう側が所有者さんの土地です。所有者さんからは、どのように森を使っても良いとの許可をいただいています。

一番奥まで進むと、砂防ダムの堰堤があります。その脇に1本のフサザクラ。ソメイヨシノなどのサクラの仲間ではありませんが、春先に花弁のない雄蕊と雌蕊のフサフサで赤い花を咲かせるのでサクラの名前がついたのかもしれません。水の多い崩れやすい場所に育つ樹木、フサザクラがある土地に家を建ててはいけません。砂防ダムの脇ってぴったりの場所ですね。

山菜として好まれているコシアブラ、爪楊枝の材料として使われるクロモジがありました。これらは薄暗いところが好きな樹。これを増やそうとするなら、高い木を残して夏も日が当たらないようにします。ほかにも、リョウブやウリカエデ、ウリハダカエデなどがありました。ウリハダカエデの樹皮をカゴ編みに使いたい人がいるので、どのくらいの樹齢が良いのか聞いてみましょう。

種がこぼれて実生の幼樹がたくさんあります。樹は歩いて移動することができないので、芽を出した場所で精いっぱい光を求めて育ちます。10センチ間隔ぐらいで芽が出ていますが、大人になれるのは100分の1?熾烈な生存競争の始まりです。樹の姿を見れば、どう育ってきたかわかりますね。

一段下がったところは昔、畑として使われていた土地。下りていくと川の音が心地よい気持ちの良い空間になっています。ここに子ども達の遊び場ができると楽しそうですね。ブランコ、ハンモック、キャンプ、水遊び、魚釣り…。

さて、活動を始めるにはメンバーの駐車場確保からスタートしそうです。入口付近の樹を伐って、車が数台停められるようにしたいですね。さて、このスペースにお金になりそうな樹はありますか?との問いに、林業士の橋本さんは「クリぐらいですかね。1リューベ(立方メートル)あたり3万円ぐらい、末口24センチで。」。いつも山で材を出すお仕事をされているので、こういう森づくり(お金にならない)は初めてとおっしゃっていました。

微妙に曲がっているクリ。地上1メートルぐらいから3メートルの材が1本とれるようですが…0.3リューベぐらいなので6千円ぐらいかな。買いたたかれたら3千円!材価は安い(クリは高い樹種なのですが)。

どこをどう使うか、そのためにどんな手入れをしていくのか、森づくり計画をこれから立てていきましょう。何度も通って、季節の変化も感じながら、ゾーニングができると素敵ですね。マップも作って、少しずつ楽しみながら手を入れていきましょう。

一昨年、はじめてこの森を下見した時にも咲いていたギンリョウソウ。樹木の根に寄生して花を咲かせる時だけ地上に出てくる、葉緑素を持たない(光合成しない)植物です。また今年も出会うことができました。季節ごとに楽しみながら、森づくりをしていきましょう。小山さん、橋本さん、ありがとうございました!